眞家 義雄 (昭53短機)
植物観察

鶏足山の植物観察は還暦と同時に始まる。この山の見どころは何といっても、茂木町側のミツマタで、花の時期には沢山の人が訪れる。谷津は黄金色で埋まり甘い香りに包まれる。城里側ではトウゴクミツバツツジやヤマツツジが有名で知る人ぞ知るところだ。鶏足山塊は城里町と栃木の茂木町との県境にあって焼森山、花香月山を含め、「城茂アルプス」呼んでいる。主峰は鶏足山の三角点430.5mで北側に200mいったところに展望台がある。ここに小さな祠があって、弘法大師のゆかりの地との言い伝えがある。嘗ては、人と出会うこともない静かな里山だったが、今は花のない時期でも登山者が途切れることがない。低山であることが実に良いのである。一般コースなら高齢の方や園児でも、十分に楽しめる里山で、さらに沢山の周回コースがあり、谷を登る健脚コースも有る。且この山塊から実に日本百名山が10座は確実に見えるのである。雪の日光連山や雲海なども見られる。初日の出のときは、猫の額の山頂は人で溢れる。また地元には鶏足山環境保存会があり、山の整備が定期的に行われ、かつ安全に登れるように毎年1月14日に山開きを兼ね安全祈願祭を行っている。
昨年は町の協力で立派な駐車場ができトイレも新設され、県内外からの登山者が増々増えている。又土曜、日曜に限って野菜市が開かれ、それを目当てに来る人もいる。
この山塊には嘗て茨城大学も調査に入っている。その内容を見せていただいたが植物の種類が少なかったため、ライフワークとして自分が調べてみたいと思い、今年で13年目に入った。樹木では長年実が確認できず樹木名が確定ができなかったが3年前に実を発見しツノハシバミであることが分かって溜飲が下がる思いでした。草花で特筆すべきは、蘭の仲間が20種類も確認ができた。ベニシュスランやクマガイソウ、ジガバチソウ、コクラン、サイハイラン、ミヤマウズラなどだが、数が少ないため絶滅が心配でもある。絶滅もしくはそれに近いものとしてオオヒナノウスツボ、アカバナ、ヒゴスミレ、オミナエシ、キヨスミウツボなどは最近は目にしていない。アキカラマツ、リンドウ、オトギリソウなども数が減っている。それは気候の変化であったり、生育地の山津波による崩壊であったり,イノシシの害及び盗掘がある。さらに、外来種なども沢山生えていて、4年前に見つけたものにマルバフジバカマがあった。キク科で北アメリカ原産であるものがこんな里山に到達しているのは驚きだ。フジバカマと名は付くが葉は3裂ではない。増えている植物としてフタバアオイやイワタバコ、ネコノメソウなど、イワタバコについて補足するとわずか3年たらずで、大きな岩がイワタバコだらけになっていたので驚いた。ネコノメソウは一時洪水などで激減したが、今は回復している。フタバアオイは徳川家の家紋になった植物であり、水はけの良い北側の斜面などに自生している。
令和6年1月より羊歯の調査に入った。羊歯の分類は、国立科学博物館の情報によれば、2016年の末、ついにシダ植物版APG分類であるPPGⅠ分類体系が公表され世界の11,000種が51科337属に再編された。その様なこともあってか、茨城県自然博物館では第90回企画展で素晴らしい羊歯の展示があった。学芸員と回って沢山さんのことを、教えてもらったが、展示のミスを見つけてしまったり、お互い真剣に議論したり、楽しい時間を持った。
【俳句】
ところで、私には俳句の趣味があって一日3~4句を目安に作って月100句を目標にしている。通常俳句には季語を入れなければならないが、春夏秋冬に新年の季語を加えると植物の季語が4割ぐらいある。植物観察している自分にとって「渡りに船」。仕事を完全リタイヤして始めたので7年になる。ただ俳句に興味を持ったのは24歳の頃で茨城大学工学部の間瀬艸淞(応用物理学)先生の指導を受けたことが切っ掛けだった。先生の説明は実に明快であった。先生が上梓された「俳句攻略」は何時も手元にあり、事あるごとに読み返している。その中に作句のポイントとして新鮮な句、初めは良い俳句を作ることより、悪句を作らない努力が必要。レベルが低くても「句」になっていることが大事と言っていたことを鮮明に覚えている。
卒業してからは、専ら独学で作っていたが、発表することもなく60代半ばを迎え、俳句結社「ひたち野」(矢須恵由主宰)に入会することとなった。前述の間瀬先生は俳句誌「寒雷」の加藤楸邨と俳句誌「槙」の平井照敏の2名に師事していて、のちに「槙」の同人会長となっている。一方矢須先生は現在の社団法人俳人協会を立ち上げた俳句誌「万緑」の中村草田男に師事し、長い間茨城の俳句会を牽引されてきた。そんな関係から、私も令和3年に先生からの誘いもあって俳人協会に入会しさらに、茨城県俳人作家協会にも入会し、協会俳句誌15号「衆」に10句を掲載していただいた。最後に紙面を句で埋めて終わりにする。
- 堪忍は男の矜持梅真白(俳人協会登録句、旧かな)
- 梅の香や開け放たれし至善堂(俳人協会登録句)
- 耳二つ泰然として初筑波(俳人協会登録句)
- 爺杉の齢千年年新た(茨城県俳人作家協会「衆」)
- 横断に一礼の児や風光る(同上)
- 兄弟の末子が持てる蛍籠(同上)
- 鳳凰の飛ぶがごとくに大神輿(同上)
- 綿虫の飛んでしじまといふ世界(同上)
作句は現代文と旧かなに分かれ、慣れるまでは大変なことだが、や、けり、かな、など切れ字が使えるので、有利かなと思い、私は旧かなで作句している。ひたちなか市にも支部がありますので、皆さんもいかがですか。

