木村 覚(昭46短機)
【出張時期】

中国への出張は経済発展を始めようとしている年代と発展最盛期の年代との3回あった。その中で一番思い出に残っているのは、最初の出張で、中国が経済発展を始める頃のことである。
中国は改革開放政策により優れた生産設備や分析装置等の導入を図っており、その中に私のグループで生産している分析装置(核磁気共鳴装置:原子核の化学構造を解析する)20台が含まれていた。期限内に各州の大学に据付け・操作実習をするにはサービス部門の者だけでは人手が足りず製品開発から担当していた私も出かけることになった。
北京の事務所で訪問先を決定。北京⇒安徽省(合肥&蕪湖)⇒雲南省(昆明)⇒広西チワン族自治区(桂林)⇒貴州省(貴陽)を2ケ月間かけて回ることになった。
【広西チワン族自自区(桂林)訪問】
雲南省昆明から桂林まで飛行機で2時間。昆明の気温は20℃と過ごし易いが桂林へ着くと40℃位の熱風と強い日差しで非常な暑さに見舞われた。
翌日から4日間かけて装置の整備と性能を確認すると「明日は素敵な所を案内します」と言われた。
【鍾乳洞(蘆笛岩(ろてきがん))の観光】
翌日学校へ行くとマイクロバスがあり学校の先生や関係者総勢20人位が待っていて、これから「蘆笛岩と言う大規模で有名な鍾乳洞に行く」とのこと。
車で2時間位走る。鍾乳洞の入り口は小さいが中へ入ると広く寒い。中にあった数百メートルもの広大な池に驚愕。その横を進むと赤や青など光で照らされた岩や空間が無数にあり、岩の大きさは数十mもある。異次元の世界に吸い込まれた感覚になる。蘆笛岩は1959年に発見された鍾乳洞で、およそ1億8000年前は海底だった場所が隆起し、その地下が侵食されて空洞と川が現れたとのことで、全長は2000mもありその一部の500mが観光コースとなっている。
【漓江の舟下り】
後日「漓江の舟下りのキップが用意できたので明日行きましょう」と先生から言われました。
ホテルから歩いて数分のところに遊覧船の乗場がある。遊覧船は静かに動き出し30分もすると両岸には田園風景が広がり川では漁師の船も多く、川魚を採っている。途中船が止まり漁師から川魚を購入する。これは後程調理して食べさせて頂いた。大変美味であったことを記憶している。
両岸は奇形の岩や動物などが数多く見られ水墨画に書いてあるような光景が流れてくる。それらが水面に映り、あたかも山水画の中にいるような錯覚にとらわれる。船上にいると日差しが強く暑い。
更に船は上流へ進み川幅はだんだん狭くなり奇岩も多く行き交う船も多くなる。
漓江はカルスト地形を形成する水に溶解しやすい石灰石の上を流れる川なので浄化能力が高く中国内を流れる川にしては透明で澄み切っている。
出発して6時間位で終点の陽朔に着き観光と店巡りをする。
日本人と分かるとあれこれと勧めてくる。案内の先生言わく「吹っ掛けてきているので半値以下の交渉が良い」。最初に言った値段で首を横に振ると値下げする。渋ると更に値下げし何度かやりとりをしたら半値を切ってきた。さすが先生は慣れたものだ。
お土産に山水画の掛軸を購入し今も飾って眺めている。
終点からバスで帰路に就く。バスの道中も奇岩を多数眺められた。ホテルに着いた時には日もたっぷり暮れ、部屋に戻った時には心地良い疲労を感じた。
桂林の観光名所の見物や漓江の舟下りをさせて頂いた先生方には大変感謝している。


